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問い合わせメールの返信をAIで作る前に消しておきたい情報

問い合わせメールの返信をAIで作る前に消しておきたい情報

問い合わせメールへの返信は、AIと相性のよい作業に見えます。文章を整え、丁寧な言い回しへ直し、抜けている確認事項も提案してくれるからです。

ただし、届いたメールをそのまま貼り付けるのは避けるべきです。本文には、氏名やメールアドレスだけでなく、注文番号、住所、契約内容、未公開の案件情報などが含まれていることがあります。

個人情報保護委員会も、生成AIサービスへ個人データを入力する場合、利用目的の範囲内か、提供事業者が機械学習へ利用しないことなどを十分確認するよう注意を促しています。

この記事では、問い合わせ原文を残しながら、AIへ渡す情報を最小限にして返信案を作る手順を説明します。

原文は消さず、作業用のコピーを作る

最初に、受信したメールや問い合わせ管理画面の原文をそのまま保存します。匿名化するのはコピーした作業用テキストです。

原文まで書き換えると、後で事実関係を確認できなくなります。AIが作った文章と元の問い合わせが混ざらないよう、保存場所も分けます。

  1. 原文を問い合わせ管理画面または指定の保管場所へ残す
  2. 返信作業用のコピーを作る
  3. コピーから不要な情報を削除・置換する
  4. 匿名化した文章だけをAIへ渡す

氏名とメールアドレス以外にも注意する

消す対象は、名前と連絡先だけではありません。ほかの情報と組み合わせれば個人や案件を特定できる内容もあります。

種類 置き換え例
本人を示す情報 氏名、会社名、部署、SNS名 [顧客][取引先]
連絡先 メール、電話、住所 削除
取引情報 注文番号、会員番号、請求書番号 [注文番号]
認証情報 パスワード、確認コード、秘密の質問 必ず削除。AIへ渡さない
未公開情報 新商品、公開前URL、見積額、契約条件 回答に不要なら削除
添付資料 身分証、請求書、画面のスクリーンショット 必要部分だけ文章で要約

問い合わせの内容によっては、病歴、口座情報、子どもの情報など、特に慎重に扱うべき内容も含まれます。返信文を作るだけなら、通常はAIへ渡す必要がありません。

回答に必要な事実だけを残す

匿名化した後、問い合わせを三つに分けます。

  • 相手が知りたいこと
  • 回答に必要な事実
  • こちらで確認しなければならないこと

たとえば「商品が届かない」という問い合わせなら、AIに必要なのは「発送済みか」「配送状況を確認できるか」「案内する窓口はどこか」です。実際の住所や注文番号は、社内システムで人が確認します。

AIへは「顧客から配送状況の確認依頼が来た。発送状況は担当者が確認中。確認後に連絡すると伝える返信案を作る」と渡せば、個人情報なしでも文章を作れます。

匿名化した問い合わせの例

元の文章

山田太郎です。7月18日に注文した商品がまだ届きません。注文番号はAB-123456、届け先は東京都○○区です。明日使いたいので、090-XXXX-XXXXへ連絡してください。

AIへ渡す文章

顧客から、数日前に注文した商品が届いていないと連絡がありました。翌日に使用予定です。配送状況は担当者が確認中です。心配をかけていることへのお詫びと、確認後に登録済みの連絡先へ案内する旨を含む返信案を作ってください。

返信案を作るために不要な氏名、注文番号、住所、電話番号を外しました。一方で、「急いでいる」「配送状況は確認中」という、文面の調子を決める情報は残しています。

データ設定を変えても、入力してよいとは限らない

AIサービスには、会話をモデル改善へ利用するか選べる設定や、一時チャット機能があります。OpenAIのData Controlsでも、会話をモデル改善へ使うか選択できることが案内されています。

しかし、設定をオフにしたことは、顧客情報を自由に入力してよいという意味ではありません。自社のプライバシーポリシー、顧客との契約、利用中プランのデータ取扱い、社内ルールを確認します。

業務用プランと個人向けプランでは、管理機能やデータの扱いが異なる場合があります。「同じサービス名だから同じ」と考えず、実際に使う契約の公式情報を確認してください。

AIへ返信案を頼むときの指示

以下は個人情報を削除した問い合わせの要約です。
事実を追加せず、丁寧で簡潔な返信案を作ってください。
・分からないことを断定しない
・返金、納期、補償を勝手に約束しない
・確認が必要な箇所は[要確認]と書く
・相手の氏名や注文番号を推測しない
・件名と本文を分けて出す

AIが出した文章に、存在しない規約、期限、担当部署が追加されていないか確認します。

送信前は原文と照合する

最終確認では、匿名化した文章ではなく原文へ戻ります。

  • 相手の質問すべてに答えているか
  • 氏名、商品名、注文状況を取り違えていないか
  • 返金、交換、期限などを勝手に約束していないか
  • 社内だけで使う文章が残っていないか
  • 返信先と添付ファイルが正しいか

[顧客][注文番号][要確認]などの置換記号が残っていれば、送信前に気づけます。検索機能で「[」を探す方法も有効です。

安全な返信作業のチェックリスト

  1. 原文を正しい場所へ保存した
  2. 作業用コピーから個人情報と秘密情報を外した
  3. 回答に必要な事実だけを残した
  4. 利用サービスのデータ設定と契約条件を確認した
  5. AIへ事実を追加しないよう指示した
  6. 返信案を原文、規約、社内情報と照合した
  7. 宛先と添付ファイルを人が確認した

問い合わせ返信でAIに任せるのは、文章のたたき台です。顧客情報の取扱い、事実確認、最終的な送信判断は人が担います。

問い合わせ返信でよくある質問

会社名を消せば匿名化できていますか

会社名だけでは不十分なことがあります。担当者名、商品名、日時、金額、地域などを組み合わせると案件を特定できる場合があります。返信案に必要かどうかを一項目ずつ判断します。

有料の業務プランなら原文を貼ってもよいですか

プラン名だけでは判断できません。契約、データ処理条件、管理者設定、自社の利用目的と社内ルールを確認します。入力できる契約であっても、返信作成に不要な情報は渡さない方が安全です。

匿名化もAIに任せられますか

補助には使えますが、匿名化前の原文をAIへ渡すことになるため順序が逆になります。ローカル処理や承認済みの仕組みがない場合は、人が作業用コピーから情報を外し、その後の文章だけをAIへ渡します。

この役割分担を決めておけば、毎回ゼロから悩まず、安全性と作業時間の両方を管理しやすくなります。

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