【レビュー感想】『響~小説家になる方法~』 ネットの評判は酷評気味だけど

こんにちは、やまとーるです。

久しぶりにネカフェに行ってきました。

10時間近く居座ったにも関わらずまだまだ読みたいマンガがあって、もう住民票を移すレベルで引っ越ししたかったです。

スキマなく詰め込まれた本棚を目の前にすると、日本に住んでて本当にラッキーだったなって感じますね。

海外で生活したことなんてねぇけど。

響〜小説家になる方法〜レビュー感想

今回読んだ中でもおもしろかった『響〜小説家になる方法〜』のレビュー感想を書きたいと思います。

映画化もされているみたいです。

『響~小説家になる方法~』あらすじ


響〜小説家になる方法〜(3) 

読書好きの文芸女子高生、鮎喰(あくい)響。社会常識に疎く根暗ではあるが、人並み外れた感性と才能を持つ彼女が書いた『お伽の庭』という小説がとある編集部の目に止まり、芥川賞・直木賞のダブル受賞を果たす。突如表れた新星の登場に湧く文芸界。彼女を元に低迷する業界の復活を試みるも、自分の意思を絶対に曲げない彼女を巡って起きる多数のトラブル、その事をネタにしようとする週刊誌等のやり取りなどに巻き込まれる周囲の人々の想いと共に、一筋縄ではいかない物語が進んでいく。

響には小説好きなら誰もが魅了されてしまう類まれなる才能があり、彼女の作品に触れた人たちはことごとく惚れ込んでしまいます。

(ある人は「生き方の正解を教えられたよう」と表現)

 

そんな天才の彼女に対して

「ちゃんと世に広めたい」(仲間勢)

「利用したい」(週刊誌、テレビ局勢)

「嫉妬と憧れで複雑」(親友)

「広まって欲しくない」(片思いのイケメン)

という三国志ならぬ四勢力の思惑があって、それぞれの視点の描写がおもしろいです。

 

当の本人(響)はいたってマイペース。忖度なんて一切ありません。

例えば週刊誌の人に無断で写真を撮られ、拒否の警告を反故にされた際、記者の自宅まで尾行して侵入し彼の子供をネタに脅し返しますw

その他、友人にウザ絡みしていた有名作家の顔面にハイキックをかましたり、自分を貶す同期の新人賞作家に対しては、受賞式典の最中にも関わらずパイプ椅子で頭部を殴打と、暴力行為もなんのその。(誤解が無いように言うと、自分からけしかけることはない)

誰もが絶賛する才能の持ち主でありながら、リアルの自己表現は明らかにおかしい。

そんな響の性格を欠点と取るか魅力と感じるかでこの作品の評価も変わってくると思います。

自分は裏表の無い彼女を好意的に感じました。

響は誰に対しても対等


響〜小説家になる方法〜(10)

前述の通り、響には類稀なる才能があり、一生食うに困らないレベルでお金も稼げるわけです(賞金は父親が受け取り拒否したが)

でもその事を彼女は鼻にかけることもなく、自分が上だとも(下だとも)思ってません。

自分が面白いと思った作品には素直に好きと言うし、つまらなければたとえそれが親しい友人が書いたものであっても包み隠さず感想を言う。

これは「優しさ」というより「対等」であるという事なんだと思います。

いや、何も考えてないだけかもしれないけどw

ただその「純粋さ」こそが「天才である」所以かもしれないですね。

 

作中には他の作家も多数登場します。

その中には夢半ばで諦めようとする人の姿もあり、対して響はこう言います。

「10年やってダメだったなら11年やればいいでしょ」

うまく表現出来ないんですが、彼女が言いたいのは「がんばればなんとかなる」という事ではなく、単純に「好きなんでしょ」ということなんじゃないかなと。

 

「好きだから続いた10年なんでしょ?11年目も20年目も、追い求めればいいだけじゃない。」

 

普通の人(響と比べて凡人)というものは、今後の将来や生活の事を案じて戸惑ってしまうもの。

このままで本当に良いのか不安になり、躊躇してしまう気持ちは誰の心にもあると思いますが、その感覚は響には分からないわけです。

 

答えが欲しいのなら、ただやるだけ。

なぜ迷う必要があるのか。

 

天才というものは孤独なんですね。

響ちゃん、僕も友達が少ないのでよく分かるよ(絶対に違う

 

響にこう言われた作家は次年に芥川賞を取ります。

授賞式での彼のスピーチも感動的でした。

是非読んでみてください。

『響〜小説家になる方法』の価格はこちら

『お伽の庭』の内容で低評価?

響〜小説家になる方法〜レビュー感想

ネットで本作品に対するレビューを読んでいると、響の性格が嫌いというよりも、彼女のデビュー作『お伽の庭』の内容が分からないからつまらないという意見が多くみられました。

マンガの中では多くの人が『お伽の庭』に関する賛辞を送っていますが、内容についてはほとんど触れられていません。

なので気になる気持ちもは分かるんですが、それが原因でこのマンガの評価を下げるのはなんか違うと思うんですよ。

 

一つ例をあげます。

全世界で5億冊以上のセールスを誇るハリーポッターシリーズ。

後に映画化もされ、それがまた爆発的なブームになりました。

USJのアトラクションでも依然大人気だそうです。

そんなハリーポッターですが、大ヒットした映画の裏にはこんな意見もありました。

「想像していたハリーポッターと違う」

あれだけ大成功を収めた映画でさえも、小説から具現化することで自分の持っていたイメージが崩れてしまった人もいたんです。

だから響の『お伽の庭』についても、「15歳の女の子が書いた誰もが絶賛する作品である」という感覚で十分だと思うんですよ。

無理して形にする必要も、証明する必要もありません。

読み手がそれぞれ自分の脳で想像した「なんだか凄そうな小説」こそ、彼女の書いた『お伽の庭』なんです。

そこに形を求めてはいけないと思うんです。

自分はこの先『お伽の庭』の全内容が出てきても読みたいとは思いませんね。

だって絶対に想像と違って幻滅すると思うから。

だけど響の映画は気になる

響 -HIBIKI-

手のひら返しすぎるんですが、マンガがおもしろかったので映画の方も気になってます。

主演は欅坂46の平手友梨奈さん。

アイドルが主役で学園モノ…

よくある「つまらない邦画のテンプレート」で危険な匂いしかしないんですが、意外とレビュー評価がかなり高いんですよね。

興行はイマイチらしいが、映画の完成度は期待以上。
共演者も豪華だが、主演の空気感が異質。上手いとかスゴいではなく、自然体。

アイドル映画ではない。

平手友梨奈はなんとなく知っていたけど、テレビのCM観て、原作は知らないけど良いと思った。
只、特典の予告は見るとネタバレみたいなのがある。
見終わって直ぐに続きが知りたくてコミック全巻をまとめ買いしてしまった。
特典ディスクも見てしまった。
平手友梨奈が好きと言っていたからという訳ではないけどサントラも買ってしまった。

※Amazonレビューより一部抜粋

(めちゃハマっとるやないかい…)

 

動画配信サイトで500円程度でレンタル可能なので視聴してみようと思います。

感想についてはまた追記します。

響の今後について

「響のマンガで合って欲しい」

彼女の書く世界を想像し、彼女の行動に魅了されているわけだから、最後まで彼女中心のストーリーであって欲しいです。

サブキャラの活躍で話を引き伸ばしたり、響自体が普通の人に成り下がってしまうと、途端に魅力が薄れてしまうと思います。

個人的には連載当初に花井ふみと言い争いをした「編集がクリエイター側だと思ってるのか」というやり取りの続きも見たいですね。

結構いいテーマだと思うんですけど。

 

以上、『響〜小説家になる方法〜』のレビュー感想でした。

おもしろかったのでおすすめします。

(最後に一言。もっと画力があれば最高なのに…)